「私ルネ。ニケの双子のお姉ちゃん。こっちは旦那のロクサーヌ」
再会したルネの旦那はちょっと気に入らないタイプだった。
ルネたちはトロントが人肉を食べているという噂を聞いてはるばる退治に向かっているとのこと。
嫌がる李猫。再び従者と貴族に化けて、トロントの街に戻ることに。
「パイはいかが?」
今日も人肉ミートパイを女の子が元気に売り歩いている。
「人肉なんておいしくないさ」
と言う李猫にルネがこう言う。
「お腹すいてると美味しいんだよ?」
「カミさんは昔、メシも与えられず監禁されてたときに先に死んだ奴の肉食って生き延びたらしい」
オーギュスタンは死んで当然だったとニケは思った。
夜になると街の人々が襲ってくるのはわかっている。もう夕暮れだった。
「やっぱりあのミートパイ売りの女の子が怪しいな。目がきらきらしてやがる」
暗く淀んだ目でロクサーヌが言った。
「人肉の売り子が目がきらきらしてるなんて、悪魔のようね」
完璧ただのイチャモンのように感じたが、実際にその売り子は女の悪魔だった。
空高く飛び、人間を操りけしかけてくる女の悪魔。
「あいつを倒さないとキリがないさ!」
ニケは再び異形化を使う。
跳躍して、女の悪魔を勢い良く叩き落としてトドメを刺した。
トロントで人の肉を食べた者たちはすべて騎士たちに捕まったと聞く。
そのあと彼らがどうなったのか、あの街の再興はどうなるかなどは未定だと隣の街で酒場の親父から聞いた。
2017 Geresha open.