ニケの旅 貴族の娯楽


街に入ってすぐ、魔道書を売っぱらおうとした。
本屋の店主は本を見て鼻で笑うと、
「二束三文だね」
と言った。大した価値はないようだ。
そこに貴族がやってきた。
「いい本だね。これは買い取りたいな」
と言い出す。
「二束三文?そんなはずはない、かなり希少な魔道書だ。もし君が二束三文で売り払うなら、すぐに買い取ってしまいたいが」
「言い値であんたに売ってやるよ。二束三文のものだ」
貴族は良い金額を払ってくれた。
「ところで入り口のあの馬は君の馬なのか。私と狩り勝負をしないかね。もし君が勝つならば、良い旅人の服を仕立ててあげよう」
貴族に狩りの勝負を挑まれ、ニケはアグロに乗って狩りにでる。
貴族は腕に自信があるようで、結果は貴族の圧勝だった。
貴族は大変満足し、ニケに旅人の服と鞍をくれる。
「その良い馬に鞍をつけてあげてくれ。君とはいい勝負ができた」
てっきり貴族の道楽に付き合わされただけだと思っていた。
その貴族はプライドだけでなく、誇りも持ちあわせていた。

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