ニケは旅先で寄った村で狼討伐の張り紙を見る。
すでに何人もの冒険者が狼討伐のために森に入っているらしい。
ニケも登録をすませて、狼を退治に向かった。
木の上で小さな男の子がいる。
その下にひときわ大きな狼がいて、その狼と戦おうとしているひょろっちい男がいた。
ニケはすかさずその狼を横取りする。
「助かったさ」
男――李猫は変わった訛りがあった。
ニケは狼を退治してお金にしなければいけないので、倒しただけだ。
結局その日、狼は一匹しか倒すことができなかった。
狼をお金にかえて、村長の家を出てくると、ニコルと李猫が待っていた。
「ニコルの村に招待してもらえるってさ、ニケ」
その夜、火を囲んで草原で踊る民という小人たちの舞踊を見せてもらった。
ニコルを助けてくれたお礼として、ごちそうも振る舞ってもらえた。
翌日、李猫がニコルといっしょに冒険に出る話をしている。
ニコルは冒険に出たかったそうだ。
まったく関係のない話だと思って準備をしていると、ニケも誘われる。
正直少し、嬉しかった。だが。
「俺は姉を探さなきゃいけないんだ。だから……」
「旅には目的があったほうがいいです。お姉さんを一緒に探しましょう!」
てっきり物見遊山の旅を楽しみたいのかと思っていただけに、これにはびっくりした。
その日、旅の仲間ができた。
どうせすぐに別れるだろうと思っていた彼らが、かえがたい仲間になることをこの日のニケはまだ知らない。
2017 Geresha open.