ニケの旅 まっいたく迷惑な女だ

旅の途中で野宿はつきもの。
その夜、食料を探すために、ニコルが弓で獲物だと思って射ると、女の子のスカートに矢が刺さった。
弓矢を引き抜いて、アンナが近くの村から貴族の元に嫁ぐように父親に言われたのが嫌で、逃げている最中だと知る。
「それはひどいですね」
「逃げるはいいけど、どうやって暮らすさ?」
「働くわよ!」
李猫はアンナが世間知らずだと決めつけた。
ニケもずっと面倒を見る気なんてないが、ここで別れると彼女がルネのようなことになるかもしれないと考える。
「近くの村までは連れてってやるが、そっからは自力で頑張れよ」
「無難さ」
「わかったわ!」

翌日、街道で干し草用の熊手をもった村人たちに囲まれる。
「アンナ、そいつらに誘拐されたのか?」
と村長であるアンナのお父さんが言った。
「違わうわよ。私、自分で家を出たのよ! 貴族となんか結婚しない」
「どうするニケ?」
親子の喧嘩の結果によっては戦わないわけにはいかない。
すると、村人を殺した悪党に本格的に昇格だ。
「それにあたし! このニケさんと結婚したんだから! もう帰らないわ!」
アンナがニケの腕に抱きついてくる。
「ええー!?」
「そうか。達者で暮らせよ。貴族様には私が謝罪しておく」
ぞろぞろ帰っていく村人と村長。
「ふぅ、危機一髪」
「知ってるか、アンナ。ニケは女さ」
「ええー!? まあいいわ。次の村まで連れて行って」
アンナを隣の村まで連れて行き、そこでお別れする。

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