ニケの旅 小さい頃の記憶


「ニケ、裏山で薪を拾って来なさい」
父親に言われてニケは大人用の手斧とマフラーを片手に外に出た。
裏山は寒い。早く薪を集めてしまおうとしていると、大きな鳥が落ちていくのを見た。
あれは大物だぞ。
ニケは鳥を食べようと思って近くに駆け寄った。
すると怪我をした男が落下していた。
その男には翼が片方だけ生えていた。

家に戻ると、ニケはお父さんに薪を渡して、斧を近くに放り投げた。
「お前、大人用の斧と薪を持って平気だったのか?」
「お父さんだよ。やれって言ったの」
布団にもぐろうとするニケの耳に村のエルフの声が聞こえる。
「村長。あの子は危険です。角が生えてるし、斧を軽々と……」
嫌な奴だな。聞こえないフリして、ニケはルネの布団にもぐりこむ。
「ニケは力持ちだよね」
力持ちのニケを疎ましく思わないのは双子の姉ルネだけだ。
ルネもまた、角が生えていた。


しばらくしてニケとルネは村から離れたところに捨てられた。
二人で道を歩いていると、馬に乗った野党が現れた。
走って逃げていると、ルネがころんだ。
ニケは大事な姉のルネを迷わず置いて走った。
ニケは橋の下に逃げて難を逃れる。
が、だんだん雨に体温を奪われ、力がなくなり、川に倒れこみ流れていく。
川下にある家に住んでいる偏屈な老婆、ゴクリばばあが薬草をつむ時ニケを拾った。
「子鬼か」
ゴクリばばあは、その角の生えた子供を家に連れ帰った。


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