むかしむかし、角の生えた女神が幽閉されていました。
彼女は災いを角に封じて自らそれを封印していました。
そこに翼を持った男がやってきて、彼女に恋をし、彼女を地上に連れ去りました。
やがて彼らの間には男の子と女の子が生まれ、彼らは愛し合っていました。しかし人間界で彼らを見つけた神々は、災いをもたらす子供を殺すわけにもいかず途方にくれてました。
角の生えた女神は自分の感情任せの行動を恥じて男を捨て、男は羽を焼かれ地上に災いをもたらす子供たちを監視するように落されました。
子供たちはやがて恋をし、結婚します。少なからず子供が生まれ、やがて災いの角は世界に広がりました。
角が災いをもたらすとわかったのは、随分あとでした。
角の生えた子供たちが疎まれるようになったのはそれからです。
片翼の男は角の生えた子を見つけると、どうしても守ってしまうようです。
そして角の生えた子供たちは、不本意にも「夜叉」と呼ばれるようになりました。
神々はこの様子を大変嘆かれ、それまでいた龍神や、翼神、三つ目の神や、肌の色の違う神、魔神などを連れて人間の世界ではないところへ消えてしまいました。
それは、これ以上神様たちが人間たちに強すぎる力をもたらさないようにとの苦肉の策でした。
神様たちが一切姿を消してしまい、人間たちの世界には、人間たちと魔物しかいなくなりました。
いつしか人間と魔物は争うようになり、それを今も神々は見守っています。
神々が人びとをたすけないのではありません。
人びとも魔物も、長い時間をかけて、神々を忘れてしまいました。
古い伝承
2017 Geresha open.